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第22話 魔法画と魔法の練習試合

last update Last Updated: 2025-05-02 17:21:42
エリンシアとティンタル王女が庭園に面した広間に二人が居る、傍には飾られた魔法画

竜人の老人、画家の彼が描いた作品

ティンタル王女、ティが言う

「赤い子供の竜のモデルはアーシュ兄様で、4つの羽根を持つ白い白鳥のモデルはエリンシア姫よ、うふふ」

「この話は御母様には秘密」

「え?」エリンシアは驚いた表情をする。

魔法画、絵から抜け出た赤い子供の竜はティンタル王女の肩に乗ったり、近くにあった果物をかじったりして遊んでいる。

「もう、この赤い子供の竜は悪戯っ子なのよ」

「そのようですわね、王女様」

「ティで良いのよ」

魔法画の白鳥の方もいつの間にか、絵から抜け出して、魔法の羽根を震わせ、羽根が楽器のように音をかき鳴らしてゆく。

クリスタル、水晶が響き合う音に良く似ていたのだった。

魔法画の白鳥の瞳は良く見れば、エリンシアと同じ色のオッドアイ

「あ、もうすぐ、魔法の練習があるの、先にお父様に私達の守護者でもある竜人のアレルドも剣に魔法の練習中ね」

「見たい?エリンシア姫?多分、練習試合もしているわ」王女の深紅の瞳が煌めき、微笑む

「まあ、それは是非とも、見たいですわティンタル王女様」エリンシアは答えた。

白の国でも、エリンシアは幾度かエイルの父親の練習試合を見て、試合後に彼の為に沢山のお弁当にお菓子を作っていた事を思い出す

それにリアンの練習試合の時も…。
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